ゴルフの歴史知ってる?

ゴルフ起源は複数の説がある

ゴルフ競技の起源は「スコットランドの羊飼いの遊び」や「中国の宮廷で行われていた球技」など諸説あり、現在では定かではありません。また、1295年にオランダで冬季に凍結した湖面で球を打つ遊びの模様が描かれた絵画に「Colf」という題名がついていることから、この遊びがゴルフの起源であるともいわれています。

歴史書の中でゴルフという言葉が初めて現れたのは1457年。時のスコットランド王、ジェームズ2世が「ゴルフ禁止令」を公布したのです。当時、スコットランドと隣国のイングランドは、いつ戦争が始まってもおかしくない緊張状態にあり、国民にも軍務訓練の必要がありました。しかし、ゴルフに熱中しすぎて軍務訓練に身が入らない国民の様子を見かねたジェームズ2世が、「フットボールとゴルフを禁止する」という法令を出したのです。

その後、海外でゴルフの普及が進む中、日本で初めてプレイされたのは1901年。イギリス人の茶商、アーサー・ヘスケス・グルームが兵庫県の六甲山上に4ホールのゴルフ場「神戸ゴルフ倶楽部」を開設したのが始まりです。以来、約1世紀を経て、国内のゴルフ人口は1,000万人を超え、1999年には国民体育大会の正式種目になるなど、国民的スポーツとして発展を遂げています。

発祥説①スコットランドの羊飼いの遊び

有名な説のひとつにスコットランド発祥説があります。12世紀にある羊飼いが暇を潰すために、先の曲がった杖で打った小石がたまたま野ウサギの巣に入ったそうです。その遊びが羊飼いたちの間に広まり、ゴルフに発展したという内容となっています。日本では定説として認識している人も多いのですが、根拠に乏しく真偽を疑う研究者も少なくありません。スコットランド人がゴルフの発祥を自国のものにしようと考えて作られた空想の物語とも言われています。

発祥説②オランダの「コルベン(Kolven)」

お次はオランダ説。真鍮でできた棒で革製のボールを打ち、離れたところにある別のボールにより少ない打数で当てる「コルベン(Kolven)」というゲームが起源となったという説です。1,000ヤード×4ホールをプレーしていたという記録が残っていること、近年オランダからスコットランドへゴルフボールが輸出されていたことを証明する書類が見つかったこともあり、オランダ説を最有力とする見方が強くなっています。コルベン(Kolven)はゴルフの語源になったとも言われています。オランダからスコットランドへ広まっていく過程で「Kolf」と呼ばれるようになり、後に頭文字がGに変わり「Golf」と呼ばれるようになったと主張する研究者も存在します。

発祥説③フランスの「クロス」

過去の文献をベースにするとフランス発祥説も有力で、中世のフランスで流行した「クロス」という競技が起源になったという説です。「クロス」は先の曲がった棒で球を打ち、より少ない打数で穴に入れた人が勝ちという競技で、1244年の文献に登場しています。まさに、ゴルフのルールそのものです。1360年にベルギーで「コルベン」、1387年オランダで「コルフ」が文献に登場していますので、原型となる競技はフランスで誕生し、ベルギー、オランダ、スコットランドに渡ったと考えることができます。

ローマ帝国、中国、日本も?その他の発祥説

その他にもローマ帝国の「paganica(パガニカ)」という遊びを起源とする説、中国の「捶丸(チュイワン)」という競技を起源とする説など、多くの発祥説が存在します。実は日本もゴルフの発祥地に名乗りを挙げたことがあります。奈良時代に流行った「打毬(たぎゅう)」という貴族の遊びが起源となったという説です。しかし、この主張は戦時中に外国の遊びを禁じる風潮への対策であり、信憑性には欠けるという見方が一般的です。つまり、ゴルフの禁止を食い止めたい愛好家が、ゴルフは外国から伝来したものではなく、日本古来の遊びであると主張するためのこじつけだったということになります。

ゴルフルールの変遷の足跡

ここからは「ルール」にスポットライトを当てて、ゴルフの歴史をご紹介していきます。ゴルフルールは土台となる「セント・アンドリュースの13ヵ条」を元に、時代にあった内容となるよう、定期的に調整が施されています。

ゴルフルールの原型「セント・アンドリュースの13ヵ条」

現在のR&A(全英ゴルフ協会)の前身であるSaint Andrews Society of Golfersが1754年に作ったゴルフルールの原型が「セント・アンドリュースの13ヵ条」です。ゴルフルールが初めて明文化された価値あるものとなっており、現在でもその精神が受け継がれ、ルールの礎となっています。特に有名なのは第10条、「must be played where it lies(あるがままにプレーする)」という項目。ゴルフの大前提として今も変わらず重要視されています。その他にも第3条「ひとたびティーショットをしてしまえば、他のボールと交換を禁止する」といった項目は現行のルールでも息づくものとなっています。

マッチプレーからストロークプレーへ

ゴルフが競技として本格的に行われるようになった当初は、競技人口もそれほど多くありませんでしたので、2名のプレイヤーが1ホールごとに勝敗を競うマッチプレーが主流でした。しかし、競技への参加者が増えるにあたり、強いもの同士がトーナメントの序盤で対戦することの不公平感、何度もラウンドを繰り返す時間効率の悪さが指摘されるようになり、全ホールを周り終えた後のスコアを競うストロークプレー方式が考案されました。その後は、公平性が高く、時間効率にも優れたストロークプレー方式が主流となり、多くの競技大会が開催されてきました。

時代に合わせたルール改定

ゴルフルールはR&A (英国 ゴルフ協会) と USGA (米国 ゴルフ協会) によって4年に一度改定されるのが通例となっており、大きな改定は大抵このタイミングで行われます。直近では2008年、2012年、2016年にルールの見直しが行われており、高反発ドライバーの規制、ハザード内のボールの確認を認める、アドレス時にボールが動いた時プレイヤーに原因がなければ無罰とするなど、柔軟な姿勢で少しずつ改良されてきました。アスリートからアベレージまで多くのプレイヤーがゴルフを楽しめるよう、時代に合わせてルールにも工夫が加えられているのです。
4年に一度の周期には反しますが、深刻なゴルフ離れに歯止めをかけるべく2019年にも大きなルール改定が行われました。グリーン上のスパイクマークの修復、自打球や2度打ちなど、不可解と言われていたペナルティーの廃止などを中心に大きくルールが見直されています。

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